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企業の睡眠対策、何から始める?健康経営・安全管理・生産性から考える3つの視点

こんにちは、担当Sです。

「健康経営に、睡眠対策をどう取り入れればいいの?」
「従業員の睡眠は、安全管理や生産性とどのような関係があるの?」
「会社として睡眠対策を始めたいけれど、何から手をつければいいのか分からない」

企業の人事・健康経営・安全衛生を担当されている方から、
このようなご相談をいただくことがあります。

睡眠は、一人ひとりの健康の問題だけではありません。

日中の眠気や集中力の低下は、仕事のパフォーマンスに影響する可能性があります。
また、運転や機械操作などを伴う職場では、安全管理という観点からも重要なテーマです。

そこで今回は、企業が睡眠対策を考える際に押さえておきたいポイントを、

「健康経営」「安全管理」「生産性」

という3つの視点から整理します。
特別な制度を一から作らなくても、できることはあります。

企業の睡眠対策を考える「最初の一歩」を一緒に見ていきましょう。

1.健康経営の視点から考える睡眠対策

健康経営とは、従業員の健康を経営課題として考えること

経済産業省は「健康経営」を、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、
戦略的に実践することとしています。

従業員への健康投資によって、従業員の活力向上や生産性向上、組織の活性化などにつながることが期待されています。

その中で、睡眠も重要な健康課題の一つです。

睡眠時間が不足していたり、睡眠の質が低下していたりすると、

  • 日中に強い眠気を感じる
  • 集中しにくくなる
  • 疲労感が残る
  • 仕事のパフォーマンスが低下する

といった影響が生じる可能性があります。

また、「十分寝ているつもりなのに疲れが取れない」という場合には、
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)など、睡眠に関連する疾患が背景にある可能性もあります。

健康経営優良法人の認定だけをゴールにしない

健康経営というと、「健康経営優良法人」の認定取得を思い浮かべる方も多いかもしれません。
もちろん、認定を目標の一つにすることも有効です。

しかし、本来の目的は認定そのものではなく、
従業員が健康に働き続けられる環境をつくることです。

そのため、いきなり新しい制度を作る必要はありません。

例えば、

  • 健康診断後の保健指導で睡眠について確認する
  • 社内研修や健康教育で睡眠をテーマにする
  • 産業医や保健師と睡眠課題について話し合う
  • 従業員向けに睡眠セルフチェックを実施する

など、既存の健康施策の中に「睡眠」という視点を加えることから始められます。

2.安全管理の視点から考える睡眠対策

睡眠対策は、従業員の健康だけでなく、安全管理という観点からも重要です。
特に、

  • トラック・バス・タクシーなどの運輸業
  • 営業車を利用する企業
  • 製造業
  • 建設業
  • 夜勤・交替勤務のある職場

などでは、睡眠と安全を切り離して考えることはできません。

睡眠不足や強い眠気は、安全にも影響する

睡眠不足や睡眠障害によって日中の眠気が強くなると、注意力や集中力、判断力などに影響する可能性があります。

運転や機械操作のように、一瞬の判断が安全に直結する仕事では特に注意が必要です。
そして、企業の安全管理という観点で知っておきたい疾患の一つが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。

SASでは、睡眠中に呼吸が繰り返し止まったり浅くなったりすることで、十分な睡眠時間を確保していても睡眠の質が低下することがあります。

本人が自覚していないケースもあるため、「本人が眠いと言っていないから大丈夫」とは限りません。

国土交通省もSAS対策を推進

国土交通省は、事業用自動車の安全対策として、

「自動車運送事業者における睡眠時無呼吸症候群対策マニュアル」
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000210.html

を公表しています。

同マニュアルでは、SASの早期発見や適切な治療につなげるための考え方が整理されており、
事業用自動車の運転者に対するSASスクリーニング検査も推奨されています。

つまり、運輸業界においてSAS対策は、単なる「健康づくり」ではなく、安全管理の一環として位置づけられているのです。

「見つけること」ではなく「適切につなぐこと」が重要

企業がSAS対策を行う場合、注意したいポイントがあります。それは、

スクリーニングだけで終わらせないことです。

睡眠に関するスクリーニングでリスクが示された場合には、
必要に応じて医療機関を受診し、医師による診断や検査につなげる必要があります。

企業としては、

啓発 → スクリーニング → 医療機関受診 → 必要な検査・治療 → 継続フォロー

までの流れをあらかじめ考えておくことが重要です。

3.生産性の視点から考える睡眠対策

睡眠は、企業の生産性とも関係しています。

そこで知っておきたいのが、「アブセンティーイズム」「プレゼンティーイズム」
という考え方です。

アブセンティーイズムとは、健康上の問題などによって仕事を休む状態
一方、プレゼンティーイズムとは、出勤しているものの、心身の不調によって本来のパフォーマンスを十分に発揮できない状態を指します。

睡眠の問題は、このプレゼンティーイズムと関連することが報告されています。
日本の働く人を対象とした研究でも、睡眠の質や日中の機能とプレゼンティーイズムとの関連が示されています。

企業から見ると、「社員は出勤している」というだけでは、
睡眠の問題を把握できない可能性があります。

例えば、

「午後になると強く眠くなる」
「会議中に集中できない」
「以前より仕事に時間がかかる」
「寝ても疲れが取れない」

といった状態が続いている場合、その背景に睡眠の問題が隠れていることもあります。

だからこそ、睡眠を「個人の生活習慣」として片付けるのではなく、
働き方や健康、生産性に関わる企業課題の一つとして捉えることが重要です。

4.企業の睡眠対策は何から始めればいい?

では、実際に企業は何から始めればよいのでしょうか。
最初から大規模な制度や検査を導入する必要はありません。

おすすめしたいのは、次の3つのステップです。

STEP1 「知る」――睡眠について学ぶ機会をつくる

まずは、従業員が睡眠について知る機会をつくります。

例えば、

  • 社内報で睡眠を取り上げる
  • 睡眠セミナーを開催する
  • 睡眠に関するセルフチェックを実施する
  • 産業医・保健師による健康教育を行う

といった方法があります。

「最近眠れていないかもしれない」と本人が気づくことも、睡眠対策の重要な第一歩です。

STEP2 「見つける」――睡眠リスクを把握する

次のステップは、必要に応じて睡眠に関するリスクを把握することです。
特に、

  • 日中の強い眠気
  • 大きないびき
  • 睡眠中の呼吸停止を指摘された
  • 朝起きたときの頭痛や強い疲労感
  • 肥満や高血圧などがある

といった場合には、SASなどが隠れている可能性があります。
企業健診と組み合わせたSASスクリーニングなどを活用する方法もあります。

STEP3 「つなぐ」――医療につながる仕組みを準備する

企業の睡眠対策で非常に重要なのが、この「つなぐ」というステップです。

スクリーニングによってリスクが見つかっても、「どこの医療機関を受診すればよいか分からない」
という状態では、その後の受診につながらない可能性があります。

そのため企業側も、

  • 産業医
  • 健診機関
  • 睡眠医療に対応する医療機関
  • SASスクリーニングや医療機関連携を支援する事業者

などとの連携体制を事前に考えておくことが重要です。

「知る → 見つける → 医療につなぐ」

ここまでを一つの仕組みとして考えることで、企業の睡眠対策はより実効性のあるものになります。

まとめ|睡眠対策は「健康経営・安全・生産性」をつなぐ企業課題

企業の睡眠対策は、単なる福利厚生ではありません。

健康経営
従業員が健康に働き続けるための健康投資。

安全管理
眠気や睡眠障害によるリスクを把握し、安全な職場環境をつくる取り組み。

生産性
従業員が本来の力を発揮できる環境を整える取り組み。

この3つをつなぐテーマが「睡眠」です。
そして、最初から完璧な制度を作る必要はありません。

まずは、

知る → 見つける → つなぐ

という小さなサイクルをつくることから始めてみてはいかがでしょうか。

ゾーン株式会社では、企業・健診機関・医療機関と連携し、
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の啓発からスクリーニング、検査、医療機関への接続まで、企業の睡眠対策を支援しています。

「自社では何から始めればいい?」
「SASスクリーニングを企業健診に取り入れたい」
「検査後に受診できる医療機関まで含めて仕組みを作りたい」

といったご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の疾患の診断や治療方針を示すものではありません。健康状態や検査・治療については、医師などの専門家にご相談ください。

参考資料・参考文献

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