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【2026年診療報酬改定】SAS外来導入は追い風か? 今、クリニックが整理したい現実的な判断ポイント

こんにちは、担当Oです。

2026年6月の診療報酬改定を前に、医療機関さまから少しずつ増えているご相談があります。

SAS外来を始める、 あるいは強化するのは今でも追い風なのでしょうか?

診療報酬改定という言葉だけを見ると、「点数が上がる・下がる」で判断したくなりがちですが、実際の判断はもう少し立体的に考える必要があります。

ですので、この問いに対して、私は
一定の条件がそろっていれば、今は動きやすいタイミングですとお答えしています。

ここでいう追い風は、「点数が上がるから急いで始めるべき」という意味ではありません。

  • 既存外来との接点がある 
  • 検査から治療までの導線を描ける 
  • 導入のハードルを現実的に整理できる 

この3つがそろっていれば、今のタイミングは追い風と捉えて良いと思います。

そもそも、なぜ今SAS外来なのか

SASは、睡眠中に無呼吸や低呼吸を繰り返す疾患で、日中の眠気や集中力低下に加え、高血圧、糖尿病、肥満、心疾患、脳卒中などとの関連が指摘されています。
SASの潜在患者数は数百万人規模と推定される一方で、治療に至っている方はその一部にとどまるとされています。つまり、疑いがあっても、まだ検査や治療につながっていない患者さんが多い領域です。

ここが、クリニックにとっての出発点になります。
SAS外来は、全く新しい患者層を遠くから集める話というより、すでに日常診療の中で接点がある患者さんを、適切な検査・治療につなぐ診療導線として考えやすいのが特徴です。
高血圧、糖尿病、肥満、夜間頻尿、強いいびき。こうした患者さんは、一般内科や生活習慣病外来では決して珍しくありません。

つまりこのようなクリニックは既存外来との接点があると言えます。

今回の改定は、導入判断にとってプラスかマイナスか

診療報酬改定は「点数を見る」だけでなく、「制度としてどこに向かっているか」を見ることが重要です。

結論から言えば、検査から治療までを一つの流れとして見られる医療機関にとっては、判断材料が整理された改定といえます。
2026年改定では、精密検査であるPSGの区分が整理され、医療機関内または訪問で実施するものが3,570点その他のものが2,000点となっています。

さらにCPAP管理では、指導管理料2が250点から240点へ見直される一方、充実管理体制加算15点が新設されています。

もちろん、点数だけで導入を判断するべきではありません。
ただ、今回の改定で見えてきたのは、SAS診療が単発の検査ではなく、継続管理を含めた導線として整備される方向にあることです。

ここを前向きに捉えられるかどうかで、導入判断の見え方は変わってきます。

SAS外来が「追い風」になりやすいクリニックの特徴

生活習慣病外来との接点がある

もっとも相性がよいのは、やはり生活習慣病を日常的に診ているクリニックです。
SASは高血圧、糖尿病、肥満、循環器疾患などとの関連が深いため、今診ている患者さんの中に、すでに入口がある可能性が高いからです。

問診から検査への流れを作りやすい

SAS診療では、問診から簡易検査に進み、必要に応じて精密検査、そして治療へつなぐ流れを設計しやすいことが特徴です。
この「入り口が作りやすい」という点は、導入判断ではかなり重要です。
どんなに制度上の評価があっても、疑い患者を拾えなければ外来は育ちません。逆に、問診の中で自然に睡眠の話ができるクリニックは、SAS外来を無理なく組み込みやすいです。

検査と治療を分断せずに考えられる

※「自院の場合、どこまで対応できそうか」「院内でどこをやらずに済むか」といった整理だけでも、ご相談いただけます。

導入ありきではなく、現状整理の段階からお話ししています。

SAS外来は、PGだけ、PSGだけ、CPAPだけで考えるより、
問診 → 検査 → 必要な患者さんを治療へ
という流れで見るほうが、現場ではずっと整理しやすいです。
外部支援を活用することで、簡易検査から精密検査、CPAP治療、治療サポートまでを一体的に設計することも可能であり、導入時の運用設計を考えるうえでも活用しやすい形になります。

一方で、「追い風」と言い切れないケースもあります

ここは率直にお伝えしたいのですが、SAS外来はどの医療機関にも無条件に向いているわけではありません。
導入がうまくいかないケースには、いくつか共通点があります。

検査だけを増やそうとしている

まず多いのが、検査件数だけを増やそうとしてしまうケースです。
SAS診療は、検査のあとにどう説明し、どう治療につなげ、継続的にどう見ていくかまで含めて設計しておかないと、現場がかえって忙しくなることがあります。入口だけ作って出口が曖昧だと、院内オペレーションが不安定になりやすいです。

院内の役割分担が見えていない

SAS外来は、院長先生や担当医師だけで回すものではありません。
問診、依頼、患者さんへの案内、結果説明、治療開始後のフォロー。規模の差はあっても、どこかで事務スタッフや看護師などの関与が必要になります。導入前にこの役割分担が曖昧だと、始めてから「意外と回らない」と感じやすいです。

“大がかりな準備が必要”と思い込んでいる

導入を迷われる医療機関の多くが気にされるのは、
新しい設備が必要なのではないか
専門スタッフを増やさないと難しいのではないか
という点です。
導入支援サービスを活用することで、設備投資や人員増強を最小限に抑えながら導入できるケースもあります。
このあたりは、実際に導入のハードルを見直すうえで重要な情報です。

医療機関さまが整理したいポイント

現時点では、「やるか、やらないか」を感覚で決めるより、まずは現場の条件を整理するのがよいと思います。
以下の4点が見えてくると、導入判断がかなり楽になります。

1. 外来の中でSAS疑い患者を拾えているか

高血圧、糖尿病、肥満、夜間頻尿、日中の眠気、いびき。
こうした患者さんに対して、睡眠の話を自然にできているかどうかは、SAS外来の入口として非常に重要です。
問診票や診察時の一言で拾える部分も多いので、まずは現状把握から始めるのが現実的です。

2. 検査までの流れが患者さんにとってわかりやすいか

導入後は患者さんへの連絡、日程調整、機器発送、返却後の解析レポートまでの流れが整理されていることが大切です。
院内側で「依頼の仕方はわかっている」だけでなく、患者さんにどう説明するかまでイメージできていると、実際の導入はスムーズです。

3. 精密検査や治療へのつなぎ方が見えているか

SAS外来は、PG検査を始めたら終わりではありません。
必要な患者さんをどう精密検査につなぐか、どこから治療導線に乗せるか、その後の継続管理をどう考えるか。ここがある程度見えていると、「検査はできるが次が弱い」という状態を避けやすくなります。

4. 院内で抱え込みすぎない設計になっているか

導入時ほど、院内で全部を抱え込まないことが大切です。
弊社は経験豊富な検査技師による解析、依頼後の患者対応、全国対応などをワンストップでご提供しています。
医療機関は診療判断に集中しやすい形を作る。この発想は、無理なく始めるうえでとても重要です。

まとめ

SAS外来の導入・強化は、2026年6月改定前の今、一定の条件がそろえば、追い風といえる面があります。
ただし、その追い風は「ただ始めれば伸びる」 という意味ではありません。
既存外来との接点、検査から治療までの導線、院内の役割分担、そして無理のない運用設計。ここを整理できる医療機関にとって、今は動きやすいタイミングです。

SAS外来は「大きな投資をして新しく作るもの」というより、
今ある外来の中に、少しずつ現実的に組み込んでいくもの
と考えると、判断しやすいと思っています。

一度、入口・検査・次の導線を棚卸ししてみる。それだけでも、6月以降の動き方はかなり変わってくるはずです。

SAS外来の導入・強化を検討中で、
まずは「自院の場合どこを整理すべきか」確認したい医療機関さまは、お気軽にご相談ください。

制度の話だけでなく、問診・検査・治療導線まで含めて、無理のない形をご一緒に整理します。

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