こんにちは、担当Oです。
6月の診療報酬改定が施行されてから4か月。
クリニックの先生方や事務の方より「SASまわりの算定、結局どこを確認すればいいの?」という声が聞こえてきます。
当初のテンションがひと段落してくる今こそ、運用を見直すチャンスです!
今日は、「全体像 → 実務のポイント → FAQ」の順番で、確認したい事項をまとめました。
10分くらいで読める構成にしていますので、休憩時間のお供にどうぞ。
※本コラムの点数・要件は令和8年度診療報酬改定(2026年6月1日施行)の告示・通知をもとに、2026年9月30日時点の情報として整理した参考値です。
算定可否の最終判断は、疑義解釈・事務連絡など最新情報と、貴院の運用基準をご確認ください。
1. 全体像 ― 2026年6月改定でSAS診療は何が変わったのか
ざっくり一言でいえば、今回の改定は「検査の入り口は広げる、管理の質は磨く」という方向性です。
まず、改定ポイントを早見表にまとめました。
| 改定ポイント | 内容 |
| CPAP導入基準の緩和 | 簡易検査のAHI 40以上→30以上/PSGのAHI 20以上→15以上 |
| 指導管理料2の見直し | 250点→240点 |
| 充実管理体制加算(新設) | +15点(240点+15点=255点。施設基準の届出が必要) |
| PSGの区分整理 | 3-ロ 3,570点/3-ハ 2,000点。実施形態と対象患者の要件を整理 |
| 1時間未満ルール | 指導管理料2の対象患者のうち、所定の要件に該当する患者では、直近3か月すべての月で1日平均使用時間が1時間未満の場合、指導管理料2が算定不可 |
順番に見ていきましょう。
(1) CPAPの保険導入基準が緩和されました
CPAP療法を保険で導入できる基準(在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2の対象患者の要件)が、次のとおり緩和されました。
| 検査方法 | 改定前 | 改定後 |
| 簡易検査(在宅)のAHI | 40以上 | 30以上 |
| 精密検査(PSG)のAHI | 20以上 | 15以上 |
精密検査を実施し、“中等症”以上の判定の方々は、保険適用となりました。
以前は「もう少しAHIが上がるまで様子を見ましょう」となりがちだった層に、早い段階で治療を提案できるようになっています。
ただしご注意ください。
AHIだけ基準を満たせばよいわけではありません。
日中の過度の眠気といった自覚症状や、PSG上の所見など、ほかの要件を併せて満たす必要があります。
導入の判断はあくまで医師が、患者・症例ごとに行っていただくものです。
(2) 管理側は“二極化” ― 指導管理料2は240点へ、充実管理体制加算15点を新設
外来でCPAPを管理する際の主役、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2は、250点から240点になりました。
一方で、モニタリング体制を整えて施設基準の届出をした医療機関には、新設の持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算(15点)がつきます。
| 区分 | 点数 |
| 改定前(指導管理料2) | 250点 |
| 改定後(体制未整備) | 240点 |
| 改定後(体制整備+届出) | 240点+15点=255点 |
つまり体制を整えるかどうかで、評価が“二極化”する設計になった、ということです。
「減額された」とだけでなく、「整備すれば改定前を上回る」という見方もできる、ここが大事なところです。
(3) 終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)の区分が整理されました
| 区分(D237 終夜睡眠ポリグラフィー) | 点数 |
| 1 携帯用装置を使用した場合 | 720点 |
| 2 多点感圧センサーを有する睡眠評価装置を使用した場合 | 250点 |
| 3-イ 安全精度管理下で行うもの | 4,760点 |
| 3-ロ 保険医療機関内で又は訪問して実施するもの | 3,570点 |
| 3-ハ その他のもの | 2,000点 |
簡易検査は、従来通り「携帯用装置(720点)+脳波検査判断料2(180点)=900点」の形で変更はありません。
今回の改定では、PSGについて「実施場所・実施方法・対象患者」に応じて区分が整理されました。
3-ロは保険医療機関内で実施する場合と、医師・看護師・臨床検査技師などの医療機関スタッフが患者宅を訪問して実施する場合が含まれます。
ただし、院内実施と訪問実施では対象患者の要件が異なるため、算定時にはそれぞれの要件を確認する必要があります。
また、3-ハについても対象患者や検査方法に要件が定められています。
なお、3-イの安全精度管理下の検査には、施設基準への適合と届出が必要です。

2. 実務で確認したい3つのポイント
ポイント① 「1日平均使用時間1時間未満」が3か月続く場合の算定に注意
今回、いちばん見落としがちな変更だと思います。
在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2の対象患者のうち、所定の要件に該当する患者については、使用時間が次の状態に当てはまると指導管理料2の算定に影響します。
| 使用時間の状態 | 指導管理料2 |
| 直近3か月のすべての月で1日平均使用時間が1時間未満 | 算定できない(材料加算は算定できます) |
| 直近3か月のうち、1か月でも1日平均使用時間が1時間以上の月がある | 上記の「3か月連続1時間未満」には該当しない |
※この取扱いについては、2026年9月2日付「疑義解釈資料の送付について(その12)」でも補足されています。
使用時間のモニタリングと指導管理が、点数面でも重要になったわけです。
毎月の使用時間データの確認と診療録への記載、そして使えていない患者さんへの早めのアプローチが、医療・事務スタッフ双方の大事なワークになりました。
ポイント② 充実管理体制加算の施設基準は「全患者モニタリング可能」と「4割基準」
加算の施設基準(届出が必要です)の柱は、次の2つです。
| 施設基準 | 内容 |
| 全患者モニタリング可能 | CPAP療法の指導管理をしている入院中の患者以外のすべての患者について、着用状況やAHI等をモニタリング可能な機器で定期的に確認していること |
| 4割基準 | 当該月の直近3か月における延べ管理月数のうち、「1日4時間以上の日が20日以上」である管理月数の割合が4割以上であること |
算定にあたっては、使用時間等の着用状況・AHI等をモニタリングした上で、1日平均使用時間を診療録に記載することも要件になっています。
たとえば、
管理患者さん10名が3か月間継続して管理対象だった場合、延べ管理月数は30。
その4割にあたる12管理月以上が「1日4時間以上の日が20日以上」という条件を満たすことが目安になります。
「患者数」ではなく「延べ管理月数」で判定する点も、運用上の大切なポイントです。
ポイント③ PSG(3-ロ・ハ)は実施形態と対象患者を確認
PSGの3-ロ・3-ハでは、実施形態や対象患者の要件を確認する必要があります。
特に3-ロは、保険医療機関内で実施する場合と、医療従事者が患者宅を訪問して実施する場合で対象患者の要件が異なります。
訪問して実施する場合は、問診・身体所見または他の検査所見から睡眠時呼吸障害が強く疑われる患者に対し、SASの診断を目的として行う場合が対象です。
また、算定回数についても確認しておきましょう。
| 検査 | 算定限度 |
| PSG 3-イ・ロ・ハ | 合わせて月1回が原則 |
| CPAP治療中の患者に対する治療効果判定として行うPSG | 初回月に限り2回、翌月以後は月1回まで |
| 効果判定(携帯用装置等を使用) | 6月に1回まで |
回数制限のかかる検査ですので、「どんな患者さんを、いつ、どの検査に回すか」をあらかじめ整理しておくと、算定もれも起こりにくくなります。

3. ここが知りたい!実務FAQ
先に質問の一覧をまとめておきます。気になるところから読んでいただいて構いません。
| 質問 | テーマ |
| Q1. 導入中の患者さんは、新しいAHI基準の見直しが必要ですか? | 既存患者への影響 |
| Q2. 充実管理体制加算の届出は、どうすればいい? | 届出(様式20の12) |
| Q3. 使用時間のデータは、毎月どのように確認・記録すればいい? | 日々の運用 |
| Q4. PSGの3-ロ(3,570点)と3-ハ(2,000点)は、どう使い分ける? | 検査の使い分け |
| Q5. 外来CPAP管理の算定点数は、どのくらい? | 算定イメージ |
| Q6. 今回の改定を踏まえ、検査・治療体制を整えるには? | 体制づくり |
| Q7. オンライン診療や遠隔モニタリングを組み合わせることはできますか? | オンライン・遠隔管理 |
Q1. 導入中の患者さんは、新しいAHI基準の見直しが必要ですか?
A. 今回のAHI基準の変更は「導入時の対象患者要件」の緩和ですので、すでに治療を開始している患者さんについて、改定されたAHI基準だけを理由に改めて導入可否を判断するものではありません。
一方、ポイント①でご紹介した使用時間に関する新たな算定要件は、対象となる患者さんの管理に関わりますので、日々の運用を確認しておきましょう。
Q2. 充実管理体制加算の届出は、どうすればいい?
A. 施設基準への適合の届出が必要です。
特掲診療料の施設基準の届出(様式20の12)を、管轄の地方厚生(支)局宛に行います。
厚生労働省の施設基準届出では「在持充」として整理されています。
届出の時期や様式は、各地方厚生局の最新の案内をご確認ください。
Q3. 使用時間のデータは、毎月どのように確認・記録すればいい?
A. CPAP本体に記録される使用時間・AHIなどのデータを、SDカードの回収やクラウド連携などで定期的に確認します。
その上で、必要なモニタリングを行い、1日平均使用時間を診療録に記載することが重要です。
特に今回の改定では、使用時間が指導管理料2の算定にも関わるため、毎月のデータを継続して確認し、使用時間が短い患者さんを早めに把握できる運用にしておくことがポイントです。
遠隔で使用状況を確認できる機器を活用すると、こうした継続的なモニタリングにも役立ちます。
Q4. PSGの3-ロ(3,570点)と3-ハ(2,000点)は、どう使い分ける?
A. 3-ロ(3,570点)は、保険医療機関内で実施する場合、または医師・看護師・臨床検査技師が患者宅を訪問して実施する場合です。
ただし、院内実施と訪問実施では対象患者の要件が異なります。
院内で実施する3-ロについては、SASの診断目的だけでなく、睡眠中多発するてんかん発作や、一定のうつ病・ナルコレプシーなども対象に含まれます。
一方、訪問して実施する場合は、問診・身体所見または他の検査所見から睡眠時呼吸障害が強く疑われる患者に対し、SASの診断を目的として行う場合が対象です。
3-ハ(2,000点)は「その他のもの」として区分され、対象患者や測定項目、測定時間など所定の算定要件があります。
3-ロ・3-ハは単純に実施場所だけで選ぶのではなく、対象患者と検査方法を含め、それぞれの算定要件を確認して使い分けることが大切です。
Q5. 外来CPAP管理の算定点数は、どのくらい?
A. 充実管理体制加算の施設基準を満たし、各項目の算定要件を満たす場合の一例として、次のような内訳になります。
| 内訳 | 点数 |
| 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2 | 240点 |
| 持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算(届出済み・要件を満たす場合) | +15点 |
| 在宅持続陽圧呼吸療法用治療器加算(CPAP) | 960点 |
| 在宅持続陽圧呼吸療法材料加算 | 100点 |
| 合計 | 1,315点 |
この例では、合計は1,315点です。
これを単純計算すると、3割負担の患者さんでは3,945円となります。
実際の窓口負担額は、再診料などほかの診療内容によって異なります。
Q6. 今回の改定を踏まえ、検査・治療体制を整えるには?
A. まずは、簡易検査やPSGからCPAP導入、その後の使用状況の確認まで、院内でどこまで対応し、どの部分を外部サービスで補うかを整理しておくとよいでしょう。
今回の改定では、CPAPの導入基準だけでなく、継続管理におけるモニタリングも重要になっています。
そのため、検査機器の確保だけでなく、CPAP本体・マスク類の貸与や保守、使用データを確認できる環境なども含めて、継続的に運用できる体制を考えることがポイントです。
すべてを自院で用意する方法のほか、簡易検査装置やCPAP機器のレンタル、PSG実施のサポート、機器の保守など、必要な部分にレンタル会社のサービスを活用する方法もあります。
設備投資を抑えて新たにSAS診療を始めたい場合や、既存の機器・データ管理体制を見直したい場合にも選択肢のひとつになります。
Q7. オンライン診療や遠隔モニタリングを組み合わせることはできますか?
A. オンライン診療や遠隔モニタリングを組み合わせた管理も可能ですが、通常の対面診療とは算定方法や施設基準が異なります。
情報通信機器を用いて在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2に相当する指導管理を行う場合は、通常の240点とは異なり、209点の取扱いとなります。
※当初公表資料では218点と記載されたものがありますが、その後の訂正により209点となっています。
また、遠隔モニタリング加算を算定する場合には、所定の施設基準を満たし、届出を行う必要があります。
オンライン診療についても、情報通信機器を用いた診療に関する施設基準や、オンライン診療を行う医師に求められる要件などを確認する必要があります。
なお、情報通信機器を用いた指導管理には対象患者の要件があり、すべてのCPAP患者が一律に対象となるわけではありません。
遠隔で使用時間などのデータを確認できる仕組みは、ポイント①でご紹介した使用時間に関する算定要件への早めの対応にも役立ちます。
自院の診療方法や受診頻度に合わせて、どのような管理体制を組むか検討することが大切です。

4. おわりに ― 「検査で見つける、データで支える」時代へ
今回の改定をふりかえると、入り口の緩和で「検査・治療につながる患者さんの幅が広がった」一方で、管理の側ではデータを活用した継続的な運用がより重要になりました。
“検査で見つける、データで支える”ことが、これからのSAS外来の大切なポイントになっていくと考えています。
ゾーン株式会社では、
簡易検査・PSG・CPAP機器の提供だけでなく、CPAP使用状況などのデータ管理、SAS診療オペレーションの効率化、医療機関のSAS診療DXを支援しています。
検査から治療、継続管理までを一つの流れとして整え、医療機関の業務負担軽減と患者さんの継続的な治療支援につなげることを目指しています。
「CPAP患者のデータ管理を効率化したい」
「SAS外来の運用を見直したい」
「検査から治療までの流れを整理したい」
といったお困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。
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2026年6月改定、SAS診療は「減点」だけで見ると見誤ります
今回の改定で、CPAP管理の何が変わるのか
そもそも、なぜ今SAS外来なのか
診療報酬改定の解説動画はこちら▼
※本コラムは一般的な情報提供であり、診療報酬の算定可否は個々の症例・施設の体制・届出状況により異なります(患者様への広告・勧誘ではありません)。
本文中の点数・要件は令和8年度診療報酬改定(2026年6月1日施行)の告示・通知等にもとづく参考情報です(2026年9月30日時点)。
最終的には、疑義解釈・事務連絡など最新の通知および貴院の運用基準をご確認ください。
参考資料・参考文献
- 令和8年度診療報酬改定について【医科全体版】|厚生労働省
- 令和8年度診療報酬改定「在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料の見直し・持続陽圧呼吸療法充実管理体制加算の新設」|厚生労働省
- 特掲診療料の届出様式(令和8年度診療報酬改定)|厚生労働省 地方厚生局
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020|日本呼吸器学会
- 睡眠時無呼吸症候群/SAS|厚生労働省 e-ヘルスネット
- 厚生労働省 D237 終夜睡眠ポリグラフィー
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